Evasion

フランス語とフランスワインをこよなく愛するフランス語ツアーガイドTokioのトラベルメモ

ノルマンディー地方を訪ねて - 聖ジャンヌ・ダルクを祭る町ルーアンRouen

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今日は、フランス語ツアーガイドのTokioです。


今回は、2月11日に訪れたノルマンディー地方の町ルーアンRouenを少し紹介します。

ノルマンディー地方といっても、西側にある観光客に人気のモン・サンミシェルや、雨傘でおなじみのシェルブールから、東側にあるディエップの町までかなり広範囲。面積は東海地方とほぼ同じくらい。

ルーアン Rouen はノルマンディーの東側の玄関口に当たるような歴史のある古い町でした。「ルーアンの大聖堂」で有名かもしれません。


滞在時間はお昼前から夕方まで数時間ほどだったので、散策したのは観光客が良く行くルーアンの中心部のほんの一部です。

ジャンヌ・ダルク教会

まずはこちらの写真から。

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この奇妙な屋根の建物は、実は教会でした。聖ジャンヌ・ダルク教会。
1979年に建てられたモダンなデザインの教会です。

ここはPlace du Vieux Marché「古い市場」と呼ばれている広場で、当日は日曜日でしたが、広場の屋根のあるスペースには店舗が軒を並べてました。

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市場を通り抜けて教会の近くまで行くと、なにやら看板が。

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よく見ると、

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実はこの広場は、1431年5月30日ににジャンヌ・ダルクが火刑に処された場所だったんです。教会の入口には十字架が立ってました。

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100年戦争の当時、ノルマンディーはイングランド国王の領地となっていたのです。
パリ解放の戦いの際に捕らえられたジャンヌ・ダルクルーアンまで連れて来られ、ここで宗教裁判にかけられて、この場所で火刑に処されたということです。

捕らえたのはフランス国王に敵対しイングランド国王と同盟を結んでいたブルゴーニュ公軍。パリは当時ブルゴーニュ公の支配下にありました。

ちなみに、1450年にルーアンを取り戻したフランス国王のシャルル7世はジャンヌ・ダルクの宗教裁判の見直しを命じ、1456年には宗教裁判は判決は無効とされジャンヌ・ダルクの名誉は回復されたようです。そして時代が下って、1920年には聖人として認めれらているようです。

ジャンヌ・ダルク教会は、ジャンヌ・ダルクを聖女として敬い、フランスの英雄として讃えるために建てられたようですね。

中はこんな感じでした。明るくて広々としてますね。

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ちなみに、ルーアンでは毎年5月30日に一番近い日曜日にジャンヌ・ダルク祭りが開かれるとか。

教会のある「古い市場」広場に面して並んでいたコロンバージュ造りの建物。

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左側の建物はレストラン で、看板にはフランスで一番古い Aubergeとありました。

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Aubergeオーベルジュというと有料で食事を提供する所、つまり食堂。1345年と書いてあります。百年戦争の時代。日本では室町時代の初期の南北朝の頃ですね。

ちなみに、このコロンバージュと呼ばれている木骨造りの建物は、このルーアンの中心街のいたるところに残っております。街全体がテーマパークのようなところです。

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時計台とノートルダム大聖堂

 聖ジャンヌ・ダルク教会のある広場から少し中心街方面に向かって歩くと、遠くに教会の高い塔と時計が見えてきます。

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Gros-Horloge「大時計」と呼ばれているルネッサンス時代の時計台と、14世紀に造られたといわれている天体時計。ルーアンを象徴するモニュメントのようです。

近くで見ると、こんな感じ。

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針は一本しかなく、ガイドブックによると、機械仕掛けになっていて、針がVIの位置にあるとき、正午になるとその曜日の神様が凱旋馬車に乗って出てくるらしいんですが。

そこから少し歩くと、大きな教会の建物。ルーアンのノートル・ダム大聖堂です。

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12世紀半ば頃から今ある場所で建設が始まって、最終的に今ある形になったのが16世紀の初め頃のようです。気の長いはなしですが、石造りの建物だからできるんですね。それにしても素晴らしい装飾です!

ちなみに、Tour lanterneと呼ばれる外の光を内部に取り込むための採光塔 の先端まで151メートルあるらしいです。写真では真ん中にある天辺が矢じりのような形をした塔で、先端部分はフランス語でもflèche「矢じり」と呼ばれているようです。

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大聖堂のすぐ横の通りは、古い建物の並ぶサン・ロマン通り。ピサロなどの画家の題材にもなった通りのようです。

この通りには、大聖堂の建物の一角に、ジャンヌ・ダルクに関する歴史博物館Historial Jeanne d'Arcもありました。

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中庭にはこんな彫刻が。

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通りの壁面にはこんな絵も。

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こんな店も。

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サン・ロマン通りを通り抜けると、別の教会が建物の合間から見えてきます。

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サン・マクルー教会。15世紀から16世紀にかけて造られたとか。大聖堂に劣らぬ素晴らしいファサードです。

 

その脇のコロンバージュ造りの建物が立ち並ぶ通りを少し歩くと、建物と建物の間に空間があって通り抜けできるようになっている。

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中に入っていくと、建物に囲まれた中庭に。

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実はここはAître Saint-Maclouと呼ばれている墓地のようです。14世紀の半ばに発生したペストでこの地域の住人の四分の三の人が犠牲になったようですが、この墓地はその際に造られたもののようです。建物は16世紀の半ばのもので、墓は屋根の下に。

建物の入口はこんな感じ。

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よく見ると、ドア横の柱にはドクロの彫刻。

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中庭に入った際にどことなく暗くて薄気味悪い印象のところでした。

墓地を出て通りを先に進むと、黒山の人だかり。日曜日とあって市場と周辺のカフェに人が集まって来ていて、通りに溢れていたのです。

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その広場から少し歩くと、水路の通りに出る。Rue Eau de Robec(ローベック水路通りとでも言うのでしょうか)という通りで、ここもコロンバージュ造りの古い建物が立ち並ぶ観光客に人気の場所のようです。

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かつてこの水路の周辺には革職人がたくさん住んでいて、決してきれいな水路とは言えなかったようですが、現在は、環境対策がしっかりとされていて植物で水をろ過するエコな水路になっているようです。

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この水路から少し歩くと、またしても大きな立派な教会が見えてきます。
Abbatiale Saint-Ouenと呼ばれる修道院のようです。

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750年に創建されたノルマンディー地方ではかなり大きな力を持っていたベネディクト派の修道院だったようですね。修道院の一部でかつて修道士の宿舎のあった建物は現在市庁舎になっているとか。

ジャンヌ・ダルクはこの修道院で自らの信仰を否定するよう強いられて、それを受け入れさせられてしまったようですね。その結果、彼女は宗教裁判で有罪となり火刑に処されたということらしいです。

ルーアンの町はフランスの英雄ジャンヌ・ダルクと深い因縁のある町だったようです。


それでは、今回はこの辺で。

少し勉強になる旅も面白いですね。では、みなさんも Bon Voyage !!!