ノルマンディー地方を訪ねて- フランスで一番小さな河のある村 ヴル・レ・ローズ Veules les Roses
今日は、フランス語ツアーガイドのTokioです。
今回は、2月12日に訪れたノルマンディー地方の小さな村をご紹介します。
フランスで最も美しい村の一つに選ばれているヴル・レ・ローズ Veules les Roses。
ディエップ Dieppeから車で40分程度の、アルバトル海岸 côte d'Albâtreに面した人口5百人くらいの小さな村。
この村にはフランスで一番小さな河 fleuve があるらしいんですが。その河はヴル河 la Veules と呼ばれていて村の名前の一部になってます。
河口付近の風景です。
当日は天気が目まぐるしく変わり、黒い雨雲と、青い空が、入れ替わり立ち代わり。
見える風景の色も刻々と変わっていきます。
ノルマンディーの海辺の風景を印象派の画家たちが好んで描いていた理由がなんとなく分かるような気になります。
フランスで一番小さな河、ヴル河 la Veules の源流へ
フランスで一番小さな河の長さは、村のパネルによると、1100メートル。
その河は村の中を流れていて、河沿いには魅力的な風景がいっぱい。
大河のイメージからほど遠い、町を流れる用水路のような感じです。
家の壁に使われている白っぽいレンガはシレックス Silex と呼ばれる火打石。この地方でよく取れるようで、ディエップの町やその周辺の村でもよく見かけました。
少し河を遡っていくと古い水車が。18世紀に作られたといわれる水車。フランス革命までここで油を作っていたようです。19世紀から小麦を粉にしていたようです。ヴル河沿いにはかつて11の水車があって、そのおかげでこの村は豊かになったようです。
河沿いにはシャン・ゼリゼ通りもあります。
ただし、アヴェニューavenue ではなくて、ここでは シュマン cheminとなってます。
さらに河をたどって行くと、けっこう古そうな家が。
独特の形をした屋根。屋根裏部屋、あるいは二階 (?) に光を取り入れるための窓の部分だけ大きく変形した屋根。なんとも味のある家です。
古い家の前を通り過ぎてほどなく、見えてきたのはクレソン畑のようです。
14世紀の頃からこのヴル河の流れを利用してクレソンが栽培されていたようです。
豊かな水量の澄んだ水のお蔭で、かつてはクレソンがこのヴル河の特産品だったようです。
どことなく日本のわさび園に似てるような気がしますが。
クレソンは有機物を栄養源にして酸素を水に供給するらしく、水を浄化する作用もあるとか。
そしてそのクレソン畑のすぐ近くにヴル河の水源がありました。
この水源から湧き出す澄んだ水が、水路を通ってクレソン畑を潤し、約1000メートル先でドーバー海峡へ流れ出ているんですね。
ヴル河の散策を終えて、村の中心街へ出ると、ヴィクトール・ユゴー通りに出る。
ここがこの村のメイン通りのようだ。
かつてユゴーも何度かこの村に友人を訪ねてきたらしい。
その通りには、こんな建物もあった。
門柱のパネルには、Villa Pierre Corneilleとありました。
ピエール・コルネイユは17世紀の有名な劇作家ですが、これはコルネイユ家が所有していたお屋敷のようです。コルネイユはルーアンで生まれているようですね。
この地方独特の赤レンガとシレックス造りの家が立ち並ぶメイン通りを通り抜けると、すぐそこは海岸。
特に夕陽に染まる海岸線は、印象派の画家の題材にもなったように、見飽きることのない美しさに溢れていました。
それでは、今回はこの辺で。
皆さんも、素晴らしい旅を。Bon Voyage !!!