Evasion

フランス語とフランスワインをこよなく愛するフランス語ツアーガイドTokioのトラベルメモ

ロワール地方のワインのドメーヌを訪ねて ー シノン Chinon ドメーヌ・ドゥ・ノワレ

 

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今日は、フランス語ツアーガイドのTokioです。

 

2月7日、ジャンヌダルクとフランソワラブレーゆかりの町、シノンChinonにあるワインのドメーヌを訪ねました。Chinonは中世のお城でも有名な町で、ヴィエンヌ川 La Vienne のほとりから眺めるお城は見ごたえあり!

 ちなみにヴィエンヌ川の対岸から見たChinonのお城です。

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訪れたのは、ドメーヌ ・ドゥ ・ノワレDomaine de NoiréというChinonの駅から歩いて30分くらいの所にあるドメーヌ。ネットのVignerons Independants(「独立系ワイン生産者」とでも訳すのでしょうか。ちなみに、「ヴィニュロン・アンデパンダン」と読みます)のホームページで見つけたドメーヌで、駅から比較的近いというのがここを選んだ大きな動機です。

 

前日の午後から降り始めた雪のため、トゥールToursからシノンChinonに向かう電車の外に流れる車窓の風景は雪国の風景かと見間違えるものでしたが、Chinonの駅も雪で真っ白でした。

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シノン駅のホーム


小さな駅から出ると迷わずドメーヌに向かった。歩道には雪が積もったまま。
少し歩くと、歩道もなくなり、雪の積もった路肩のそばを、時たま車が通り過ぎて行く程度。目に入るのは周囲に広がる雪で真っ白に染まった葡萄畑。

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しばらくするとドメーヌの看板が見えてくる。

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門の前でまず出迎えてくれたのはワンコ。吠えながら向かってくる。

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ブティックに案内してくれたワンコ


その後ろから聞こえる男性の声。黒ぶちメガネのちょっと小柄なマンソーMonceauさんにブティックに通される。

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ブティックのある建物。

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マンソーManceauさん

ちなみにドメーヌ・ド・ノワレはマンソーさんが2001年に購入して大切に育ててきたドメーヌのようです。

 

マンソーさんは、一通りChinonのワインの歴史、AOC Chinonchinon銘柄の産地呼称ワイン)のこと、葡萄畑の地層のことなどの話をしてくれた。

 

マンソーさんの16ヘクタールの葡萄畑はヴィエンヌ川を挟んで両岸に広がり、その地層も場所によって、石灰質であったり、粘土質であったり、砂礫だったりするようで、当然、地質の違いはワインの味にも反映されてくる、ということですが...

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マンソーさんの葡萄畑の地層を表す断面図

また、マンソーさんの葡萄の栽培方法は、ビオディナミViodynamieだということです。ビオディナミというと、近代化された農業とはかなり違った方法のようで、農薬を一切使わず、月の満ち欠けに合わせて、あらかじめ決められた方法で葡萄を育てるらしいのですが、硫黄も、瓶詰めの前に少し使用する程度で、醸造の過程では一切使用していないようです。


お話の後は、テイスティング

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白ワイン2種類、ロゼ1種類、赤ワイン3種類。地層の違い、葡萄の木の年齢の違い、収穫年の違いなど、いろいろ解説していただいたが、ワインテイスティングdégustationの習熟度の浅いTokio にはまだ違いが良く分からないのが、とても残念でした。

ボトルの裏側のラベルはその葡萄の品種や葡萄畑の地質、味わいなどの解説付き。テイスティングdégustationの訓練をするには丁度よいかも。

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 ボトルの裏のラベル。ワインの特徴、葡萄の品種、地層、香り、味わいなど情報が記載されている。

珍しいところでは、アンフォーラAmphoraと命名されている白ワイン。これは素焼きの壺で 熟成élevage しているようです。ギリシャ時代を想像させますが、味はというと、違いを表現できないのが残念。

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素焼きのカメで熟成された アンフォーラAmphora。ボトルの形も丸っこい。

ロワールの赤ワインはボルドーなどに比べると比較的軽めで早飲みタイプのワインというイメージが個人的にはありますが、イメージ通りの飲みやすいワインでした。

テイスティングDégustationの後、かつて住居に使われてたという石灰石の洞窟や、醸造タンクのあるCave, 天然の貯蔵蔵などを案内していただいて、一時間の見学タイムが終了。

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かつて住居に使われてたといわれる石灰質の岩盤に掘られた洞穴。ロワール河の流域に多いTuffautチュフォと呼ばれる石灰岩の地層のようです。

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石灰岩でできた天然の熟成・貯蔵庫。奥に見える赤茶色の丸っこい入れ物がアンフォーラAmphoraを熟成する大きな素焼きの壺。オークのワイン樽もあります。

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こちらはステンレス製の醸造タンクCuve de vinification

 

生憎の雪の天気で葡萄畑の散策などができなかったのは残念だったけど、初めてワインのドメーヌを見学できて、しかも生産者の話を直接聞けたのはとても良かった。できれば、ビオディナミなどの話をもっと詳しく聞ければよかったのだけど、Tokioもまだ初めてのことだし、まだあやふやな知識しかないので、次回フランスに来る際の課題にしておきましょう。

来た時に出迎えてくれたワンコが見送ってくれました。

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 マンサーさんには、雪の中、駅まで車で送っていただきました。ありがとうございました。

 

ちなみにマンオーさんのワインは日本でも販売しているようです。

ドメーヌ名は Domaine de Noiré。ラベルは例えば、

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詳しくはこちらのホームページで。

AOC Chinon Domaine de Noiré vins bio, par Odile et Jean-Max Manceau



それではまた、次の旅先で。Bon Voyage !!!


中世の面影が残るレンヌRennesの街

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今日は、フランス語ツアーガイドのTokioです。


先日フランス、ブルターニュ地方の中核都市レンヌ(Rennes)で開かれたワイン商談会を見学した後、Rennesの街を散策してきたので、ちょっとだけご紹介します。

 

Rennesって今まで個人的には馴染みのない街だったけど、といっても、むしろ個人的に馴染みのあるフランスの町なんてごく限られてるんですが、ちょっと町の中心街を散策してみると、中世の街並みの残るけっこう感じのいい街でした。


ホテルの受付で街の見所を聞くと、地図をくれて、3か所紹介してくれた。

観光案内所、サンピエール大聖堂とそのその地区の古い街並み、そしてメディアテック。


観光案内所、Office de Tourisme

 
取り敢えず、観光案内所に行ってみることに。

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Office de Tourismeは、15世紀に改築されたといわれている古いサン・イヴ礼拝堂の中にありました。入口はその横から。このChapelleはもともと古い病院の礼拝堂だったようです。

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Office de Tourismeの入っているSaint-Yves礼拝堂。ゴチック様式の古い建物。

礼拝堂の中にも外にも壁面を飾る素晴らしい彫刻があるようで、ちなみに外壁にはこんな素晴らしい精巧な彫刻が。

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観光案内所で観光地図を買って、散策に。観光地図には10 sites incontournablesとして、見所10か所が簡単な説明付きで紹介してあり、地図に番号もふってあるので結構便利です。10か所とも中心街にあって、歩いて散策できる範囲。



サン・ピエール大聖堂

まず向かったのが観光案内所から歩いてすぐ近くにあるサン・ピエール大聖堂、Cathédrale de Saint-Pierre。現在の聖堂は、16世紀から立てられ始めて、今の姿に完成したのは19世紀の半ばらしい。ブルターニュ地方でも由緒ある大聖堂の一つのようです。

正面から見ると、

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48メートルの双子の搭は4層になってて、16世紀から17世紀にかけて積み上げられたということです。

中は、

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大きくて厳かな感じです。

後ろを振り返ると、頭上に大きなパイプオルガンが。

 

1874年に製作設置されたいうことですが、本当に立派なオルガンでした。f:id:bonjourtokio:20180204230122j:plain

 

モルデルの門、Porte Mordelaise

次に向かったのが、大聖堂の正面のすぐ前にある、Porte Mordelaise (モルデルの門)と呼ばれている、かつての町の玄関口だった門。既に3世紀には今の場所に門があったようですが、今残っているのは15世紀に造られたもの。当時、町は城壁に囲まれていたようで、この門はその名残のようです。

 

 

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門を入口から見ると、

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入口のすぐ手前は木製の橋になっていて、鎖で持ち上げられるようになってました。お城の入口でよく見かけるヤツです。敵が攻めて来たら、橋を持ち上げて進路を遮断するアレです。

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リース広場、Place des Lices

「モルデルの門」を出て、すぐ近くに、Place des Lices(リース広場)と呼ばれる公設市場の建物が見えます。毎週土曜日に市場が開かれるようで、その規模はフランスでも指折りの市場のようですね。ここで開かれる市場の歴史は1662年にさかのぼるようです。中世の頃は、この場所で騎士のトーナメントが開かれていたとか。
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この日は蚤の市、或いは、がらくた市をやってました。
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入場料を取るんですね!


観光案内所で買った観光地図の5番目に紹介しているのは、ブルターニュ地方議会の建物。天井に描かれた装飾画などが素晴らしい、と紹介されているので行ってみることに。


木骨造りの家、Maisons à pan-de-bois

サン・ピエール大聖堂のある旧市街界隈を歩いていてよく目につくのが、柱のむき出しになったいかにも古そうな家。アルザス地方のストラスブールなどの写真ではよく目にすることがあったけど、ブルターニュ地方にも同じような作りの家が残っているとは知りませんでした。

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アルザス地方ではコロンバージュ造りの家(maison à colombages)と呼ばれているようですが、ブルターニュ地方ではもっぱら maison à pan-de-boisと呼んでいるようです。木骨造りで柱がむき出しになっている家。階を積み重ねることもできて、ブルターニュ地方にでは、上の階ほど道路側にせり出している造りの家が多いとか。雨がちの天気が多い土地柄という人もいるような。

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通りに面して、柱などに彫刻などの装飾が施してある家もよく見かけました。

石材などの原料が少ない地方では、昔から比較的手ごろな木材と土でpan-de-bois の家を建てるケースが多かったようです。フランスではアルザス地方が有名ですが、ノルマンディー地方ブルターニュ地方でも、pan-de-bois造りの家がまだ結構残っているようですね。

ただし19世紀になると、こうした造りの家を街中で建てることや、建物の階を積み上げることは、防災上の理由で禁止されてしまったようです。

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それにしてお、建物がゆがんで見えるのは、気のせいかな、レンズのせいかな?

地震の多い日本では危なくてちょっと無理でしょう。


ブルターニュ地方議会議事堂

観光地図の5番目に載っていたParlement de Bourtagne の建物です。

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 ここはガイド付でないと中に入れないようです。定期的に有料のガイド付見学ツアーがあって、観光案内所に申込みして参加するようです。集合は観光案内所。観光案内所で見学ツアーの話は聞いてたけど、ツアーに参加しないと中に入れないとは言ってなかったので、特に気にしてなかったのだが。

ということで中は次回にお預けということです。また来る機会があればの話ですが。


日曜日の街角

日曜日のフランスの町は、ほとんど店が閉まっていて、大体どの街角も午前中はひっそりしとしているようで、Rennesの中心街もそんな感じ。ただ、いつもひっそりしている訳ではなさそうで、Tokioがいた日はたまたま(?)街のあちこちでイベントをやってました。

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街のバス停で見かけたポスター。

郊外の展示会場で開かれていたワイン商談会を見学した後、Rennesの中心街に戻り、バスで知り合った女子学生に案内してもらった所は、そこだけ黒山の人だかりだ。町中の人が集まって来ているのではないかと思われるほど。

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Le Marché à Manger !   グルメイベント。

Les Halles Centrales 中央市場の中庭に設営されたテントにテーブルに椅子。そして黒山の人、人、人。

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人の群れを囲むように中庭の周囲に設営された多くの仮設スタンド。

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仮設のワインバーも。

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Les Halles Centrales 中央市場から少し駅の方向に歩くと、Esplanade du Générale de Gaulleと呼ばれるだだっ広いスペースがあって、そこでやってたのは自動車クラブのイベント。

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今は懐かしいドゥーシュヴォ Deux Chevauxも。

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さすがにフランスでも最近はこんな車が走っている光景は見られないと思いますが、一昔前はよく街中を走ってるのを見かけたものです。

日曜日の午後、店は閉まっててショッピングはできなくても、市民を退屈させない仕掛けは色々とあるようです。

 

Galette de Bretagne


ところで、TokioのBlogにはグルメリポートは出できませんが、せっかくブルターニュ地方にいるので、ブルターニュといえばガレット、ということで、翌日の月曜日のお昼、ワインの展示会場行のバス停のあったRépubliqueのすぐ近くのクレープ屋さんに入ってみました。

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RennesのRépublique。周囲に路線バスのバス停が集中してます。

そのすぐ裏にあるクレープ屋さん、L'épi de blé、「麦の穂」。

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明るくて、一人でも気軽に入れそうな感じの良い店でした。

Tokioが頼んだのはもちろんガレット。

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一見物足りなそうな感じだけど、中にはジャガイモや三種類のチーズがたっぷり入っていてかなりのボリュームです。飲み物は、ガレットといえばシードルなんですけど、どういう訳か赤ワイン。

ちなみにちゃんとランチメニューもあります。ランチメニューはシードル付でした。

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ちなみにランチメニューにあるGalette  Complèteというのは生ハムと卵とチーズの入ったガレットで、クレープ・ショコラとシードル付で10,50ユーロとなってます。Tokioが日本を出る前にユーロを交換したレートが140円なので、1500円弱といったところですね。

Tokioの注文したガレットGalette à 3 fromages 3種類のチーズ入りはお店のSpecialitéで8.9ユーロでした。

店員さんも女性も男性も皆さん感じが良い、サンパティックな人達でした。

場所も良くて、ガレットもおいしくて、とっても感じの良いお店でした。皆さんもRennesに来る機会があったらちょっと寄ってみても良いかも。

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お昼頃には一杯だった店内も、午後2時を過ぎると空席が目立ってきます。午後3時には一回閉店するようです。


それでは、食事が終わったところで、Rennesのご案内はこの辺で。

 

最後にご参考までにTokioの泊まったホテルをご紹介しておきます。

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Hôtel Le Florin, Rennes駅のすぐ目の前にある二つ星のホテルです。

部屋はこんな感じです。

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Booking.comで一泊50ユーロ弱。駅に面した3階の部屋でした。
従業員も感じが良くて、お勧めです。

大きな窓からは現在工事中のRennes駅も一望できます。

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近代的な駅に衣替えしようとしているRennesの駅。この次来る機会があったら立派な駅になっているんでしょうね。

それでは皆さんも、思い出に残る旅を。Bon Voyage !!!

レンヌ(Rennnes)のワイン生産者商談会

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今日は、フランス語ツアーガイドのTokioです。

 

ブルターニュ地方の中核都市Rennes (レンヌ)の展示会場で1月26日から28日の三日間開かれたSalon des Vignerons Indépendants に行ってきました。Tokioが行ったのは最終日の1月28日。


ワインの「展示会」は初めてで、1月26日に終了したテイスティングの講習を受けた直後だし、一日Salonに入り浸って色んな産地のワインを味わってこようと、大いに期待して行きました。

場所はRennesの中心街からバスで20分ほどの展示会場Parc Expo。ネットで一応バス乗り場の場所の地図とか、時刻表、路線図、会場の地図などはあらかじめプリントアウトして持って行ったので、初めてとはいってもあまり心配はしていなかったものの、やはり気になってホテルを出たのは結構早め。8時半といっても外はまだ薄暗い。しかも日曜日なので街の人通りもほとんどない。

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 街の中心街にあるRépublique広場。かつて証券取引所のあったゴージャスなPalais du Commerce の周囲には多くの路線バスのバス停が集まっている。ワインのSalonが開催されているParc Expoに行くバス57番線のバス停もこの建物の裏側にある。

 

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待ってたバスが来た。随分長いバス。2台連結されてるみたい 。

 

20分程で展示会場Parc Expoに到着。

殺風景なだだっ広い敷地に会場らしい建物が見える。バスから降りる人が多い。皆、Salonへ行くようだ。

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会場入口の受付で入場券を渡すとテイスティング用のワイングラスを一つくれるので、それを持って会場内に入る。

中に入ると広い会場一杯に小さなstandがところ狭しと整然と並んでいる。小さなカウンターテーブルにワインのボトルが置かれていて、出展している生産者vigneronとお客がカウンター越しに対面する格好だ。お客が二人で一杯になってしまう小さな立ち飲みカウンターといった感じ。それが無数に並んでいる。カウンターの内側には段ボール箱が積まれている。商品のワインが入っているのだろう…

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ProfessionnelでなくてもOKといことだったので軽い気持ちで入っては見たが、お祭りのような雰囲気は一切なく、売り手と買い手が鼻を突き合わせて商売をする商談会なのでした。

ハンディタイプの折り畳み式キャリーカートを携えた入場者をよく見かけたが、これは購入したワインをそのまま車で持ち帰るための必需品。会場入り口近くには、カートの貸し出しサービスや、宅配業者のカウンターもあり、配送態勢もしっかりと用意されていた。


電卓をたたきながらカウンター越しに値段の交渉している入場者。カウンターに用意されているワインは、お祭り用の振る舞い酒などではなくて、商品サンプル。商談成立した商品はその場で出荷。

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日本の百貨店の食品売り場などでよくやってる一般消費者を対象にした「ワイン祭り」のようなイベントでの試飲や、観光客を対象にした観光地の酒造業者の試飲コーナーをイメージしていたら大間違いだった。


ワインの生産と流通という視点で見ると、生産者には幾つかタイプがあるようで、葡萄の栽培と販売だけ行って自家でワインを醸造しないviticulteurと呼ばれる葡萄の栽培農家、葡萄の栽培からワインの醸造瓶詰まで行うvigneronと呼ばれる生産者、その中でも製品の流通はネゴシアンnégociantと呼ばれる卸問屋を通して行う生産者、葡萄栽培からワインの醸造瓶詰を行い流通は卸業者を通さないで一般消費者への販売まで行うvignerons indépendant と呼ばれる生産者など。

 

ちなにみSalonを運営するVigneronts indépendants の全国組織のホームページによると現在、32の県組織と10の地方組織(フランスの「地方」régionは行政単位となっていて現在13の「地方」がある)があって、加盟している生産者は7000軒。

 

フランス各地で定期的にSalonを開催しているようで、Rennesの次の開催は2月16日から19日までStrasbourgの予定らしい。


独立系のvigneronsの販路はワイナリー、ネット、それにこのようなSalonということのようだ。Salonへの出店には当然経費がかかっているはずなので、大きなバックパックを背負った物見遊山で来ている入場者にカウンターに立たれて試飲だけして立ち去られると、大迷惑ではないだろうか...

 

フランス人の団体観光客を金沢の近江町市場に案内した際に、ある店の前でたむろしてると、店主が露骨に嫌な顔をして、「邪魔だ」と、吐き捨てるように言った記憶がよみがえる。店主にしてみれば買わない観光客は客ではなく、商売の邪魔なのだ。

 

そう考えると、心理的に大きな壁ができてしまって、向こうから声でも掛けられない限り、こちらから「試飲をさせてもらえませんか」とはとても言い出せるような気分ではなくなってしまったのです。


270軒ほどのスタンドが出てるんだから、一軒くらいは声を掛けてくれるだろと、ひそかに期待しながら広い会場内の通路をくまなく歩いてみるものの、どこからも声はかかりません。

 

広い会場を三周もすると肩にズッシリと重くのしかかるバックパックをどこかに下ろしたくなり、会場の片隅にある休憩用のベンチに座って、態勢を立て直すことに。

 

朝食抜きでホテルを出てきたため空腹感も加わり、ベンチの近くのサンドィッチなどを販売しているスタンドで大きなサンドイッチを買って食べることに。

 

時計を見ると11時30分。バスの時刻表を何気なく見ると、Rennes行のバスが12時前にある。バスは1時間に一本。結局、試飲への期待もしぼんでしまっていたため、予定より早めに会場を切り上げて、Rennesの街に戻ることにした。

 

帰りのバスを待っている際にフランス人女性と知り合いになった。ビニール袋にワインのボトルらしきものが入っているのが分かった。聞いてみるとRennesの学生で、Salonは2度目とか。「買わないで、試飲するだけでも大丈夫」と言っていた。今回は街のワインショップcavisteに進められてsalonに来たようだ。初めてのsalonは数年前のモンペリエとか。8時間ほど会場にいてけっこう試飲もしたという。早く会場を後にしたことを悔やんだが、バスの中では後の祭りだった。

 

女子学生はClaireという名で、Rennnesでpatrioineの勉強をしてるとか。ガイドではなくて修復の方らしい。文化財や歴史的建造物などの修復に携わりたいようだ。

f:id:bonjourtokio:20180201085215j:plainClaireと右に見えるのがLes Hallesの建物

終点のRepubliqueのバス停で降りると、Les Hallesというところまで案内してくれた。バス停から5分ほどのところ。市場の建物の広場でイベントが行われていた。Le Marché à Mangerというイベント。日曜日で街は静まり返っているのに、そこだけはすごい人だかりで盛り上がっていた。Claireとはそこで別れた。

 

RennesのSalonでは思いを果たせなかったが、次のStrasbourgでは頑張ってみよう。

それでは、皆さんも、悔いのない旅を。Bon Voyage !

 

ローマ時代の遺跡が残る町オランジュ(Orange)

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ローマ時代の劇場

 

今日は、フランス語ツアーガイドのTokioです。

 

南フランスのSuze La Rousse での4日間のワイン講習を修了し、5日間過ごしたBollène
のホテルを後にして、ブルターニュ地方のRennesへと向いました。

 

途中、5日間お世話になったレンタルバイクを戻しにOrangeの町へ立ち寄る。


ホテルから自転車で20分ほどのフランス国鉄のBollène駅からOrangeの町まで電車で10分程度。Bollèneに来るときは、Orangeから自転車で1時間40分程度かかったけど、今回は、朝から雨模様だし、AvignonでのTGVの乗り継ぎ時間に遅れると大変なので、電車で移動することに。

フランスでは自転車も一緒に電車に乗れるんですよ。ただしTGVではなく、TERと呼ばれる「ローカル」線のみです。

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中はこんな感じ。

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この列車のように、専用車両のある列車があるので要注意です。専用車両のない列車はどの車両でもOK。後者のタイプは比較的新しい列車のようです。

 

 Orangeは、ローマ時代の遺跡が残る南仏の香りが漂うキュートな町。ナポレオンが植えさせたといわれている街道沿いの印象的な白いプラタナス。オレンジ色の屋根瓦。街の所々にあるfontaine... 往年の南仏を舞台にした映画に出てくる、あんな感じの町です。

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Fontaineのある広場


街道沿いの印象的な白いプラタナス

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オレンジ色の屋根、カラフルな壁の色、太いプラタナス

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Tokioがレンタルバイクを調達した店は町の中心の広場に面した、自転車屋さんではなくて、スポーツ用品店。日本出発前にネットで見つけたNature Bike Provence というサイトで予約したのだけれど、てっきり自転車屋さんかと思い込んでいたので、現地についてサイトに載っている住所の当たりに自転車屋さんがなくて、非常にあせった。

これがその住所にある用品店

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自転車を返却しに来た日、Soldesをやってました。


その店のオーナーで自転車レンタルの商売もしているThierryさんがこちら

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大変感じの良い親切なご主人で、OrangeからBollèneに行く近道をアドバイスしてくれたり、わざわざ地図までコピーしてくれたり、荷台に荷物をくくりつけるゴムひもを貸してくれたり... 一人で外国の知らない町を旅していると人の人情が心にしみます。

Thierryさんお勧めのOrangeの町の見所はローマ時代の劇場とローマ時代の凱旋門
Avignon行の電車の待ち時間を利用してお勧めのローマ時代の遺跡を見学。

Orangeの町に残るローマ時代の劇場はヨーロッパで最も大きなもののようです。残念ながら現在修復工事中でその全容は見れないけれど、劇場の中の様子は記事Topの写真の通りです。

Orangeの町がつくられたのは、Wikipediaによると紀元前35年ということだから、随分と古い歴史のある町だったんですね。大劇場と凱旋門。ローマ人にとってこの町は当時かなり重要な位置を占めていたようです。

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劇場舞台の上から観客を見下ろす人物は誰? 

大劇場から徒歩で15分くらいのところにある凱旋門はかなり保存状態も良いようです。

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高さ20メートル、幅20メートル、奥行き8メートルの凱旋門。表面に施されたレリーフ彫刻がきれいに残ってます。説明書きによると、一段目の三段目が蛮族であるゴーロワ人(今のフランス人)との地上戦の勝利の情景が表現されていて、二段目は海戦の勝利の情景を粟原しているということのようです。

ちなみに三段目のレリーフはこんな具合です。

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兵士が入り乱れて戦っている様子のように見えます。

Orangeの中心街は、ローマ劇場内の見学も含めて2時間もあれば十分歩いて廻れる広さです。時間があったらこの南仏の古い町をちょっと散策してみてはいかがでしょうか...


ちなみに、自転車のレンタルをしているThierryさんのNature Bike Provenceのサイトはこちらです↓ Orangeに行く機会があったら是非寄ってみてください。

Nature Bike Provence : Location de vélo en Provence


それでは、皆さんも、Bon Voyage !!!

 

フランス、ワイン大学でのワインテイスティング基礎講習

 

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朝日に輝くワイン大学

 

ワイン大学(l'Université du Vin)での四日間の短期のワインテイスティング講習の今日が初日。


1日7時間授業。9時からスタートして午前中3時間半。午後は2時半から再開して5時半まで。このペースが四日間、合計28時間の講習ということです。

Tokioが選んだのは、テイスティングの基本講習。ワインの本場の専門的な研修機関でテイスティングの基礎的な技術を身に着けたいと思ったから。

ちなみに、ワイン大学というのはいわゆる大学ではありません。「大学」のパンフレットによると、葡萄の栽培からワインの醸造からソムリエ、ワインの販売、あるいはワインにからめたツアーなどなど、ワインの仕事に携わるプロの人を対象にした専門的な職業訓練機関で、大学や地方自治体とも連携して運営されているようです。

「大学」があるのは、Suze La Rousse という人口2千人くらいの小さな町の小高い丘にそびえ立つ中世のお城の中。


町中から見るとこんな感じ

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別の角度から見ると、
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こちらが「大学」の研究室の入口です。

我々研修生は、通常テイスティング専用ルームに近い別の入口から入ります。

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ちなみに、止めてある自転車はTokioのレンタルバイクです。

テイスティングの講習が行われる教室はこちら。

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授業の様子です。基本的に写真やビデオ撮影は禁止ですが、講師の「ニッケル」さんに許可を得て撮らせてもらいました。


研修生の机にはcrachoirと呼ばれる「流し」がついていて、テイスティングの際には、ワインを飲みこまないで、crachoirに吐き出すのがルールです。その机はこんな風になってます。

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授業についてはまた後日。

今日のSuze La Rousse は快晴。高台にそびえ立つ「大学」から見渡す風景は映画のワンシーンかと思われるほどTokioには感動的でした。この風景に巡り合えただけでもここまでき来た甲斐があった。

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眼下に見えるRuze La Rousseの街並み、その先に延々と広がるCôte du Rhône の葡萄畑。

 

ちなみに、Suze La Rousse の外に広がっている葡萄畑の光景はこんな感じです。

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フランスの夜明けは遅くて、朝8時過ぎ。Côte du Rhôneの葡萄畑のはるか彼方に昇る朝日の光景。


Tokioが宿泊しているホテルのあるBollèneという町から自転車で「大学」に向かう途中、日の出に遭遇。「大学」があるSuze La Rousseは公共交通機関の便が悪く、冬場は宿泊先もほとんどない、とっても「辺鄙な」所だけど、はるばる来て良かったなと、最初に思った瞬間でした。


それでは、今日はこんなところで。


皆さんも思い出に残る旅を。Bon Voyage !!

 

さあ、出かけようフランスへ

フランス語ツアーガイドのTokioです。

今年のオフシーズンにフランスへ行こうと決めて1か月半。
いよいよ本日出発の日。明日の朝にはパリです。

今回は1か月のフランス滞在。
現地での滞在記録をメモ替わりに残しておこうと、日本にいる人への報告も兼ねて急遽ブログを始めることにしました。

ブログ初心者なので、とりあえず、シンプルに綴っていきます。

今回のフランス旅行の目的は、ワインです。

南仏のSuze-La-Rousseにあるワイン大学でのテースティングの講習、ブルターニュ地方のRennesで開かれる Salon des Vinerons Inépendants の見学、アルザス地方のStrasbourgで開かれるSalon des Vignerons Indépendantsの見学が今回のメインテーマです。合間に、ワイン生産者の訪問も予定してます。

現地の状況をレポートしていきますので興味のある方は読んでください。

それでは皆さんもBon Voyage !