Evasion

フランス語とフランスワインをこよなく愛するフランス語ツアーガイドTokioのトラベルメモ

レンヌ(Rennnes)のワイン生産者商談会

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今日は、フランス語ツアーガイドのTokioです。

 

ブルターニュ地方の中核都市Rennes (レンヌ)の展示会場で1月26日から28日の三日間開かれたSalon des Vignerons Indépendants に行ってきました。Tokioが行ったのは最終日の1月28日。


ワインの「展示会」は初めてで、1月26日に終了したテイスティングの講習を受けた直後だし、一日Salonに入り浸って色んな産地のワインを味わってこようと、大いに期待して行きました。

場所はRennesの中心街からバスで20分ほどの展示会場Parc Expo。ネットで一応バス乗り場の場所の地図とか、時刻表、路線図、会場の地図などはあらかじめプリントアウトして持って行ったので、初めてとはいってもあまり心配はしていなかったものの、やはり気になってホテルを出たのは結構早め。8時半といっても外はまだ薄暗い。しかも日曜日なので街の人通りもほとんどない。

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 街の中心街にあるRépublique広場。かつて証券取引所のあったゴージャスなPalais du Commerce の周囲には多くの路線バスのバス停が集まっている。ワインのSalonが開催されているParc Expoに行くバス57番線のバス停もこの建物の裏側にある。

 

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待ってたバスが来た。随分長いバス。2台連結されてるみたい 。

 

20分程で展示会場Parc Expoに到着。

殺風景なだだっ広い敷地に会場らしい建物が見える。バスから降りる人が多い。皆、Salonへ行くようだ。

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会場入口の受付で入場券を渡すとテイスティング用のワイングラスを一つくれるので、それを持って会場内に入る。

中に入ると広い会場一杯に小さなstandがところ狭しと整然と並んでいる。小さなカウンターテーブルにワインのボトルが置かれていて、出展している生産者vigneronとお客がカウンター越しに対面する格好だ。お客が二人で一杯になってしまう小さな立ち飲みカウンターといった感じ。それが無数に並んでいる。カウンターの内側には段ボール箱が積まれている。商品のワインが入っているのだろう…

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ProfessionnelでなくてもOKといことだったので軽い気持ちで入っては見たが、お祭りのような雰囲気は一切なく、売り手と買い手が鼻を突き合わせて商売をする商談会なのでした。

ハンディタイプの折り畳み式キャリーカートを携えた入場者をよく見かけたが、これは購入したワインをそのまま車で持ち帰るための必需品。会場入り口近くには、カートの貸し出しサービスや、宅配業者のカウンターもあり、配送態勢もしっかりと用意されていた。


電卓をたたきながらカウンター越しに値段の交渉している入場者。カウンターに用意されているワインは、お祭り用の振る舞い酒などではなくて、商品サンプル。商談成立した商品はその場で出荷。

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日本の百貨店の食品売り場などでよくやってる一般消費者を対象にした「ワイン祭り」のようなイベントでの試飲や、観光客を対象にした観光地の酒造業者の試飲コーナーをイメージしていたら大間違いだった。


ワインの生産と流通という視点で見ると、生産者には幾つかタイプがあるようで、葡萄の栽培と販売だけ行って自家でワインを醸造しないviticulteurと呼ばれる葡萄の栽培農家、葡萄の栽培からワインの醸造瓶詰まで行うvigneronと呼ばれる生産者、その中でも製品の流通はネゴシアンnégociantと呼ばれる卸問屋を通して行う生産者、葡萄栽培からワインの醸造瓶詰を行い流通は卸業者を通さないで一般消費者への販売まで行うvignerons indépendant と呼ばれる生産者など。

 

ちなにみSalonを運営するVigneronts indépendants の全国組織のホームページによると現在、32の県組織と10の地方組織(フランスの「地方」régionは行政単位となっていて現在13の「地方」がある)があって、加盟している生産者は7000軒。

 

フランス各地で定期的にSalonを開催しているようで、Rennesの次の開催は2月16日から19日までStrasbourgの予定らしい。


独立系のvigneronsの販路はワイナリー、ネット、それにこのようなSalonということのようだ。Salonへの出店には当然経費がかかっているはずなので、大きなバックパックを背負った物見遊山で来ている入場者にカウンターに立たれて試飲だけして立ち去られると、大迷惑ではないだろうか...

 

フランス人の団体観光客を金沢の近江町市場に案内した際に、ある店の前でたむろしてると、店主が露骨に嫌な顔をして、「邪魔だ」と、吐き捨てるように言った記憶がよみがえる。店主にしてみれば買わない観光客は客ではなく、商売の邪魔なのだ。

 

そう考えると、心理的に大きな壁ができてしまって、向こうから声でも掛けられない限り、こちらから「試飲をさせてもらえませんか」とはとても言い出せるような気分ではなくなってしまったのです。


270軒ほどのスタンドが出てるんだから、一軒くらいは声を掛けてくれるだろと、ひそかに期待しながら広い会場内の通路をくまなく歩いてみるものの、どこからも声はかかりません。

 

広い会場を三周もすると肩にズッシリと重くのしかかるバックパックをどこかに下ろしたくなり、会場の片隅にある休憩用のベンチに座って、態勢を立て直すことに。

 

朝食抜きでホテルを出てきたため空腹感も加わり、ベンチの近くのサンドィッチなどを販売しているスタンドで大きなサンドイッチを買って食べることに。

 

時計を見ると11時30分。バスの時刻表を何気なく見ると、Rennes行のバスが12時前にある。バスは1時間に一本。結局、試飲への期待もしぼんでしまっていたため、予定より早めに会場を切り上げて、Rennesの街に戻ることにした。

 

帰りのバスを待っている際にフランス人女性と知り合いになった。ビニール袋にワインのボトルらしきものが入っているのが分かった。聞いてみるとRennesの学生で、Salonは2度目とか。「買わないで、試飲するだけでも大丈夫」と言っていた。今回は街のワインショップcavisteに進められてsalonに来たようだ。初めてのsalonは数年前のモンペリエとか。8時間ほど会場にいてけっこう試飲もしたという。早く会場を後にしたことを悔やんだが、バスの中では後の祭りだった。

 

女子学生はClaireという名で、Rennnesでpatrioineの勉強をしてるとか。ガイドではなくて修復の方らしい。文化財や歴史的建造物などの修復に携わりたいようだ。

f:id:bonjourtokio:20180201085215j:plainClaireと右に見えるのがLes Hallesの建物

終点のRepubliqueのバス停で降りると、Les Hallesというところまで案内してくれた。バス停から5分ほどのところ。市場の建物の広場でイベントが行われていた。Le Marché à Mangerというイベント。日曜日で街は静まり返っているのに、そこだけはすごい人だかりで盛り上がっていた。Claireとはそこで別れた。

 

RennesのSalonでは思いを果たせなかったが、次のStrasbourgでは頑張ってみよう。

それでは、皆さんも、悔いのない旅を。Bon Voyage !